78話
日本中の祈りがあふれ出す。
友を想う祈り。
恋人を想う祈り。
母を想う祈り。
父を想う祈り。
姉を想う祈り。
弟を想う祈り。
――兄を想う祈り。
――妹を想う祈り。
「……蒼生の祈り」
草薙悠弥が手を掲げる。
神理が集束する。
目覚めるものがあった。
神風――日本を守るという理の最大の行使によって目覚めるものがあった。
主の目覚めにより一つの遺物が目覚める。
起動する起動する起動する起動する。
それは復活。
――蒼生大和。
それは拠点。
草薙悠弥――久世零生――虚神。
過去、虚神の元に集いし仲間達。
挙国一致の想念で集いし者。
己が欲望のために戦う者。
愛のために戦う者。
故郷のために戦う者。
数多のために人間が集った場所。
虚神が拠点とした神理拠点。
主の真の目覚めを歓迎するように。
その拠点は真に目を覚ます。
――虚神
日本国の存亡をかけた戦いに。
日本国を救いのための祈りに
日本を想う思いが集まる。
その想いに、神理拠点は呼応する。
神理の遺物が励起する――主を迎えるために。
◆
草薙悠弥へ力が集束していく。
「希望の風……」
苦しい時に
悲しい時に
助けが欲しいその時に
風が吹く。
――神風が助けてくれる。
それは歴史が証明する真実。
(俺がそう在る)
俺がやる。
草薙悠弥は只の日本人。
草薙悠弥の活躍は只人の活躍なのだ。
百万の絶望を前に草薙悠弥は一つの希望を掲げた。
「――神風」
全ての想いを力に変えて神風が吹こうとしていた。