77話
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「オオオオオオォォ!!」
幾多の仲間を踏みつぶし、魔の群れは天に至っていた。
震える天、崩壊する大地。
空前絶後のカタストロフィ。
進撃する魔軍は何体もの魔族を挽き潰ししてはしる。
さながら地獄の進撃だった。
「「「オオオオオオオオオォォォォ!!」」」
狂乱する万魔軍。
空が震える地が揺れる。
万魔死行。
全国から集結する魔の行軍は空前絶後。
今や草薙が座す中枢に向かって駆ける魔天を満たす魔族。
◆
「なんだあれはぁぁぁぁ」
「ありえねぇ! なんだあの数」
「え、えらいことじゃ……」
「せ、戦争やぁ……ホンマもんの戦争やぁぁ!!」
「ででも、よぉ」
「あいつら、俺らの事みてねぇ」
「さっきまで襲ってきたのに……みんな向こうにいきやがる」
「た、助かるかもしれねぇ!
「い、いまのうちだ」
「に、にげろ、にげろおおぉぉ」
民達が生存への希望を見いだす。
北条によって多くの民に避難プランが伝達されていた
混乱の中、民達が命を拾っていく。
それは微かな、だが確かな希望だった。
◆
「さぁ、大詰めじゃああああああ!!」
北条時継が叫ぶ。
「みよ!北条武士どもよ!
我らのはじまりを!
我らの戦いを!
あれぞ我らが誇り!
北条の戦いはあの神風を起こすためにあると知れ!」
「ウオオオオオオオォォォ!!!」
「日本万歳!」
「神風万歳!」
北条の檄は精強なる鎌倉武士団に響き渡る。
「ハハハハハハハハ!
やったなぁ!
本当にやっておるなぁ草薙よおおぉぉ!!」
猛っていた昂ぶっていた。
幾多の民を守り、多くの血を浴び、多くの友を失った。
戦いすぎて既に正常な感性を失っているのかもしれない。
このまま死んでも構わないといわんばかりの高揚。
だがそれも人間だ。
そして――北条だ
「討て! 国敵を!
撃ち放て! 神風を!
虚神の神ノ風!
北条時継がしかと見届ける!!」