米は良い
「米は良い」
「日本の米だからな。
とても美味い」
「米は最高だぞ。
なにせ普段から食べているものだからな」
「……普段から食べているから大したものではない?」
「何を言っている。普段から食べているものだからより素晴らしいのだ」
「というかそっちの方がいいだろう?
めったに幸せな気分になれないのと、毎日幸せな気分なんだったら、
毎日幸せな方がいいだろう。
なにせ数が多いからな
毎日ハッピーハッピーだとも」
「単純なのが一番」
「それに米は日本食。
それだけで素晴らしい。
君が君でいる事自体が素晴らしい事と同様にな」
「特別なものでなくてもいい。普段のものでいいのだ」
「米はうまい。うまいのだ。
質素でありながら仄かな甘み」
「透き通るような白米の味」
「この味わいがいいのだ。
単純で深い味わい。特別な米でなくとも良い。
普通の米。だが――」
「――それもまた良し」