第24話エクストラ 守人達の想い
「草薙様が姿を消しました」
くノ一達の声が響いた。
サジン・オールギス。
バルモワ
シグー
テグムゾ。
あの恐ろしいリュシオンの神理者を倒した草薙悠弥という男が
姿を消した。
風守にとって不味い事態。
一様に風守の者達は沈痛な顔をした。
葉月もその一人だった。
(草薙悠弥……)
心にあるのはその名前だった。
一つの印象があった。
――風。
彼は風のようだと思う。
「葉月さん……」
「アゲハ。草薙の事、どう思う?」
「草薙さんは……アゲハめ達を助けてくれました……」
「でも、まだ何も終わってないのだとアゲハめは思うのです」
「志公が動いたと……あります」
「北条からの情報も……ガルディゲンの大量破壊兵器が」
「あのケグネスクラスの化け物が……何人も」
「大きなものが……来ます……」
「あまりにも巨大な存在がやってきます……この日本に」
「私め達に……いったい何が出来るのでしょうか」
葉月にはわからない。
ただそれでも……
「それでも草薙なら……」
――草薙悠弥ならなんとかしてくれると、感じる。
思い出した光景がもう一つあった。
絶望を具現化したような、ガルディゲンの魔族、ケグネス。
あの漆黒が現れなければ自分達は死んでいた。
恐れは消えない。
「ガルディゲンは……きますわ」
確信だった。
ただ、草薙悠弥はそのために姿を消したのだと
本能的に葉月は感じていた。
なぜなら
「あのサジン・オールギスと戦った時の草薙悠弥は……普通じゃなかった」
サジン・オールギス。
バルモワ。
シグー。
テグムゾ。
風守を襲ったリュシオンの神理者達。
どれも恐ろしい力を持った神理者だった。
自分達は、あのリュシオンの神理者に勝てなかった。
サジン達の前に危機に陥った時に助けてくれたのは――草薙悠弥。
草薙悠弥はそれを倒したのだ。
それも一人で。
国敵討滅という言葉と共に。
「あの風は……私達を助けてくれた。まるであれは」
自分達が奉じる虚神の――
そう思いかけて葉月はかぶりをふった。
あの脅威が去っても尚、葉月には胸騒ぎがあった。
――ガルディゲンがくる。
確信だった。
ガルディゲン、あのケグネスと比肩する、いやそれ以上の化け物が
くると。
(草薙……)
(草薙様……)
彼女達は祈るように一つの名を呼んだ。
虚神を希求するかのように